映画「トランスアメリカ」~滑稽でも切なくても人生は続く~(前編)
| 書いた人: 森のモモ(ライター紹介) | カテゴリー:ストレス対策コラム |
先日「トランスアメリカ」というアメリカ映画を観てきました。
有名な俳優が出ているわけでもない低予算のインディーズ作品ですが、
米アカデミーの最優秀主演女優賞にノミネートされるなど
話題になっているのでご存知の方も多いかと思います。
この映画を語るには、まず設定の突飛さから始めるしかないでしょう。
L.A.で暮らすヒロイン、ブリーの元にN.Y.の拘置所から電話がかかってきます。
トビーという少年が父親を探しているという話に、ブリーは動揺を隠し切れません。
なぜならその父親とはブリーのことだから。
実はブリーはトランスセクシャル。男性だった頃に一度だけ女性と関係を持っていたのです。
トランスセクシャルという言葉は、メディアでも話題になることが多いので
ご存知の方も多いと思いますが、改めて説明しておきますね。
身体の性別と心の性との間に食い違いが生じ、それゆえに
何らかの 障害"を感じている状態が性同一性障害。
トランスセクシャルは性同一性障害の中でも生まれながらの性に強く違和を感じ、
性別適合手術を受けることで身体的にも社会的にも
自らが認識する性に適合させたいと強く望む、または実行した人のことです。
生まれながらの性を否定することで本来の自分になろうとするブリーの姿は、
一見“普通”の生活をしている私たちとは無縁の話のように感じます。
でも「自分の思う自分」と「社会上こうあるべき自分」との落差への戸惑いと不安、
その中で感じる息苦しさや悲しみなどに焦点をしぼればどうでしょうか?
毎日のように伝えられる「心の病」に関するニュースを見ても、
形は違えど多くの人が何らかの違和感を持ちながら暮らしている様子が伺えます。
人が羨むような完璧な幸せとは程遠いブリーの人生。
でも自分に素直に誠実に毎日を過ごす、小さくて愛すべき存在です。
観客がブリーの“ずれた”生き方に何かしらの共感を持ったことが
この作品が支持されている原因ではないか? 少なくとも私はそう思いました。
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